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第146回e4c-village協議会 報告

皆様、お元気にお過ごしのことと思います。
前回の協議会に続いて、慌ただしく10月の協議会のご案内です。

時が経つのは早いものです。10月の声を聞けば11月、12月と思わず数えて
しまって早年末を想像してしまいます。もう秋なのですね。先週からジャケット
着用です。世の中いろいろ騒がしいですが、空騒ぎのところは無視して、
公私ともに充実の秋をエンジョイしましょう。食とスポーツと仕事です!

10月は、"懸案"の「4K・8K」を採り上げます。
この4K・8Kは以前2014年3月の協議会で採り上げたことがあります。
「こだわりの技術」として日本らしい強みの紹介でした。その頃はまだ4K・8Kは
放送もなく、TVも発売されていなかったのではないかと思います。今は一部
放送が開始されていますが、TV受像機の方は既に売られており大分値段も
安くなっています。画像は確かにきれいです。ただ本格放送はまだなので、
このままでは宝の持ち腐れで、単にきれいというだけで、HDテレビ(2K)の
後継機というだけになってしまいます。多分一般の消費者は、値段から言っても、
単にHDの次としか思っていないでしょう。「4K・8K」とはそもそも何なのか?
3年半前のテーマはどうなったのか?そもそものポテンシャルを探る、
これが今回の問題意識です。

「4K・8K」は単に解像度が上がったと言うだけではありません。明るさの階調、
色彩の階調も上がっています。最近は画像のHDRというのを聞いたことがあるかも
しれません。4Kカメラは特長にHDRが書かれているものもあります。HDRは、
High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略で、明るさの幅が広がって、
例えば空が白く抜けたり、木陰が黒く沈んだりせず、人間の目で見たような自然な
明るさでものが見えます。今までのTVはSDRで、スタンダードダイナミックレンジ
です。空の白が飛び、雲と空の区別がつかなかったり、日陰の草が一本一本見え
なかったりします。つまり「4K・8K」の画像は表現力が圧倒的に上がるのです。
2次元なのに奥行きが感じられます。そうなればカメラワークも変わります。
視聴スタイルも変わります。メディアが変わるというのはこういうことなのです。
昔からマンマシンインターフェイスのメディアが変わると、音なら集音が、
画像ならカメラワークが、変わります。FM放送の時も、CDが生まれた時も、
白黒放送からカラー放送になった時も、入力・出力技術は変わっていくのです。
そして視聴スタイルも変わります。「4K・8K」はどう周辺技術を変え、視聴者の
視聴スタイルを変えていくのでしょうか?

また映像という面から言えば、応用は他にも幅広くあります。例えば、手術の映像が
4K・8Kになったらどうでしょうか?細い血管から細かい部位まで色彩を含めて
はっきり見えるようになります。遠隔で名医が指導することもできます。医療ミスも
抑えることができるようになるでしょう。また仮想現実などにも応用が見込まれます。
世界遺産の旅とか、現地に行かなくても十分美しい景色を楽しめることでしょう。
「4K・8K」映像の、まだ見ぬ可能性は膨らんでいきます。

実は今回も前回同様元ソニーPCL社長の毛塚さんに相談しました。また昨年初めに
NTTが「4K・8K」用の高速伝送ICを開発したというニュースが流れた時には、
当時のNTT ITの社長、長谷さんにも相談させていただきました。
お二人のおかげでいろいろ分かってきました。今回はそこから生まれた話です。

一番バッターは、ソニーPCLの諏佐さんです。
「4K・8K」の技術体系を話していただきます。何のためにどんな技術が使われ
ているのか?画像にどういう効果が出てくるのか?それは人にどのように感じられ
るのか?利用シーンも違ってくるはずです。ソニーPCLはソニーグループの中で
映像のプロとして、それぞれの時代を先取りし、貢献してきました。映画界に撮影
機材として最初にビデオカメラを導入したのもソニーPCLです。黒澤監督が初めて
ビデオカメラを使った映画『ドリーム』もソニーPCLがクルーを派遣しています。
新しい技術という器に盛るコンテンツはどうあるべきなのか、技術の側面から
じっくりお話を伺いたいものです。

二番目は、NTTテクノクロスの奥田さんにお願いします。
元NTT IT社長の長谷さんの紹介です。実際に昨年、海外で撮ってこられた映像を
見せていただきました。臨場感、奥行き、広がりは大したものです。奥田さんに
は、放送以外の分野、特にネット系で「4K・8K」がどう使われているのかをお話し
していただきます。放送は設備投資と、受像機の普及などで時間がかかりますが、
ネット系ではP2P(ピアトゥピア)で、できる人から楽しめます。身近なところでは、
孫のビデオも撮り方が違ってくるし、クラウドからの見方も違ってきます。
オフィスでの新しい応用もありそうです。NTTテクノクロス社でいろいろやって
いらっしゃるのは伺いました。題材の選択はお任せしましたので、具体的な応用の
紹介を通して4K・8Kの現状と動向を伺いたいと思います。

三番目は、NHKエンタープライズの元橋さんです。
元橋さんとは、昨年毛塚さんのご紹介で、NextTV Forumの事務局長を
なさってい るときにお目に掛かりました。「4K・8Kの行方」ということでいろいろ
お話ししたことを思い出します。4K・8Kの放送日程は決まっているにしても、
4K・8Kの本来の実力をどう実現していくのか、視聴スタイルにまで迫って追求して
いくのは大変です。その時も、放送以外のイベント系、ビジネス系(メディカルなど)に
話が及びました。パブリックビューイング、プロジェクションマッピング、水族館映像など
にも言及されました。今年に入って再度、今度はNHKエンタープライズに移られた
元橋さんにお会いした時にも、話題は放送以外の適用例になっていきました。
ネット系でもそうですが、普及できるところから実現していくのが現実的です。
4K・8Kならではのアプリケーションのご紹介をお願いしてあります。
ダイナミックな映像の世界を垣間見たいと思います。

さて、最後は、いろいろアドバイスをいただいた毛塚さんから、
現在お仕事をしている日本映画テレビ技術協会のご紹介があります。
活動は多岐に亘っているようですが、ぜひ自分のビジネスの参考にしてください。
日本の強み、映像技術の現状と動向が分かると思います。

今回の講演で「4K・8K」の視界はすっきり晴れるでしょうか?
技術に勝ってビジネスで負けるなんて言われていますが、得意分野は徹底的に
勝ちにいかなければなりません。遠隔医療、VRを含め適用分野は今やどんどん
拡がっています。ぜひ新しい価値提供の一つとして考え、挑戦してみてください!

今回も是非奮ってご参加下さい。語り合いましょう。それでは会場で!!

株式会社イーフォーシーリンク  横野 滋