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第140回e4c-village協議会 報告

皆様、お元気にお過ごしのことと思います。
本当に長い間ご無沙汰してしまいました。今年3月以来です。申し訳ありません。
前回も申しあげましたが、昨年11月から年初2月にかけて腰痛やら何やらで
身動きが取れなかった付けが回ってきておりました。あまりに長かったせいか、
一部の心優しき方の中には、「横野もそろそろくたばったのではないか」と内々
問い合わせてきた方もいらっしゃったようです。もう一応体調の方は大丈夫です。
ご心配お掛けして申し訳ありません。
協議会テーマの方もだいぶ仕込んでいますのでこれからは次々と皆様に
ご提示させていただきます。是非活発な議論の種にしていただければと思います。

時は秋。良い季節です。清々しい空気と青い空。
スポーツに、食に、読書に、大いに楽しんでいただきたいと思います。
ただ想定外がいろいろ起きますのでご注意の程を!

さて、この間世の中はだいぶ変わってきました。一時もじっとしてはいてくれません。
日本にとって今一番関心があるのは、アベノミクス第三の矢でしょう。
金融(第一の矢)と財政(第二の矢)もいつもでも待ってもらえません。
それに3.11の復旧、復興、再生も捗ってはいません。消費税もあります。
そこに今度は御嶽山です。次から次へと起ってくるのです。
世界では、最近最も印象深いのは、イスラム国やスコットランド独立のように、
「歴史の付け」が回ってきていることです。これはバカにできません。
「歴史の付け」が格差や不当な差別になって残っていれば誰でも不満は持ちます。
こういうことも人類に突き付けられた課題です。英知の問われるところです。

今回の協議会は、「ダイバーシティー」を取り上げます。これも格差や差別です。
ダイバーシティー自体は広い意味がありますが、今回は「女性問題」を取り上げます。
女性役員を増やせとか、閣僚に5人女性が入ったとか、世の中騒がしく言われて
いますが、本当のところはどうも分かっていないのではないか、と自分でも思って
しまいます。私自身は女性を差別しているとは露とも思っていないのですが、
何しろ男性中心の社会で育ってきましたからどこに差別的な考え方が
あるのかも分かりません。当の女性自身にも本当のところは分かっていないのでは?
世の中が騒がしくなればなるほど、疑い深くなってしまいます。
一度ちゃんと本論を聞いて、議論してみたいと思います。

そんなことをいつものようにのたまっていたら、ソニーの先輩から
「21世紀職業財団に、元ソニーの高松さんが行っているから聞いてみたら?」
と言われ、早速お話を聞きに行きました。

ということで一番バッターは、21世紀職業財団の理事・事務局長をなさっておられる
高松和子さんです。21世紀職業財団は、男女雇用均等法の成立を受けて1986年
「財団法人女性職業財団」として設立され、1993年に現在の名称に変更されました。
高松さんはソニー時代からダイバーシティに取り組み、ご自身は子会社の社長なども
歴任されましたが、やはりソニー社内でも女性労働者が活躍できる環境づくりに
尽力されてきたようです。「横野さんも、どうせ家(うち)に帰れば何もしないんでしょ?
今の若い人は違うけど、横野さんの年代では、特に女性に差別的な考えを持って
いないとはいっても、ライフスタイルが違うのよね。」と言われてしまいました。
そうなのです。家(うち)には専業主婦の女房がいます。会社では、「仕事ができる、
できないに、男も女もない。」と言って、仕事をアサインしたりしていましたが、
ひょっとしたら基本的な考え方が違っているのかもしれません。
一方で高松さんは、必ずしも女性がこの問題を理解しているともいえないと言います。
女性の意識も変わっていかなければならないのです。そんな状態は、場合によっては
「形から入る」ことも必要です。女性役員を30%に、というのも
一部はそのやり方です。なってみれば意味が分かる、ということもあります。

そこで高松さんには、ダイバーシティーのそもそもの意味や必然性、全体の状況や
動向をお話しいただくことをお願いしました。基調講演です。更に現場の状況を
誰に話していただけばいいのか、相談に乗ってもらいました。業界によって状況は
違うようです。電機業界などは男性人口も高く、管理職も圧倒的に男性優位です。
メーカーでも化粧品は、女性人口が高く、資生堂では半分以上が女性と伺っています。
また銀行ではテラーと呼ばれる窓口担当は女性がほとんどですが、上級職は
男性が占めています。流通もレジは女性が圧倒的です。今回は、e4cメンバーの
所属する会社を考慮して、高松さんのアドバイスを受けて、資生堂と日立に、
具体的なお話を伺うことにいたしました。

資生堂は、常勤監査役の高山靖子氏にお願いいたしました。監査役に就任する前は
ダイバーシティーを担当され、活躍されました。内外ともご活躍が知られています。
高山さんにお話を伺ったところ、最初に言われたのが、「男と、女では、
コミュニケーションスタイルが全く違うのです。男性が主体の会議では、
ロジックをメインに議論が進みます。女性主体の会議では話が次々と飛ぶのです。
これには男性はついていけないでしょう。でも最後は纏めるところはちゃんとまとめます。
ここに男性がいると、余計な話はするなと言われます。男性もイライラします。女性は、
男性の論理主体の議論では抑圧されます。女性の良いところが出ないのですね。」
女性管理職30%という数字は、カンターの法則、というのがあるそうです。
集団の中で影響力が出てくるのが30%の部分集合なのだそうです。
こんな話をはじめに伺って、いろいろお話をお聞きしました。資生堂社内での経緯、
現状も伺いました。高山さんにはご自身のご意見も含めて資生堂での具体的な
お話を伺いたいと思います。

最後は日立です。前会長の川村氏は、ダイバーシティーに関心が深く、
自らご講演もなさっていると伺いました。日立はダイバーシティーに熱心な会社です。
今回は、日立製作所、人財統括本部、ダイバーシティ推進センターの神宮純緒氏を
ご紹介いただきました。
早速お話を伺ってきました。元々はBtoBの分野で営業をしていたとのことですが、
突然人事への異動が舞い込んだそうです。そこに日立の変革の一部を見るような
感触があります。神宮さんと話していると明るくポジティブに受け取った感じがあります。
基本は多分ダイバーシティなのです。ダイバーシティは価値観の多様化に
その源があるらしい。「限られた価値観の中でビジネスができていれば、
別にダイバーシティはいりません。今までと同じでいいのです。
でも今はビジネスがグローバルになってきていることからも多様な価値観の人々
との関係が重要になってきているのです。そこにダイバーシティが不可欠な要素に
なってきている意味があります。」とおっしゃいます。「女性問題」もダイバーシティの
一部です。女性の部長を集めた会議をやったり、社内の女性の活性化に取り組ん
でいます。神宮さんの名刺を見ると、いくつかのマークに中に
「DIVERSITY100 2013」と「NADESIKO2014」があります。
前者は、経産省による「ダイバーシティ経営によって企業価値向上を果たした企業」
を表彰する「ダイバーシティ経営企業100選」(経済産業大臣表彰)。
後者は、経産省と東京証券取引所が共同で紹介する「なでしこ銘柄」企業のことです。
これだけでも日立グループの意気込みが分かります。まだ女性の役員はいない
とのことですが、近い将来には実現するのではないでしょうか。「若い人たちを見ると、
女性の方が元気そうです。20年後にはダイバーシティと言わなくても女性の地位は
高まっているように思います。」神宮さんには日立の中で行われている具体的な
動きを中心にご紹介していただこうと思っています。

ダイバーシティも日本が変わっていくひとつのバロメーターです。
考え方が変われば商品もビジネスも視点、視野が変わってきます。
今回は、華々しくメディアに取り上げられながら、その意味や具体的な動きの
見えない「流行」に光を当ててみたいと思います。

時代を見通す目を持って、新たなチャレンジに挑んでみましょう!
長らくお休みいたしましたが、これからはまた新たな話題とビジネスチャンスの
ヒントを提供していきます。乞う、ご期待!

今回も是非奮ってご参加下さい。語り合いましょう。それでは会場で!!

株式会社イーフォーシーリンク  横野 滋