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第139回e4c-village協議会 報告

皆様、お元気にお過ごしのことと思います。
だいぶご無沙汰してしまいました。申し訳ありません。私事で恐縮ですが、
腰痛やら何やらで年末年始身動きとれず失礼いたしました。
遅ればせながら、本年も宜しくお願いいたします。
e4cは、今年も、皆様とともに大飛躍の年にしていきたいと思っております。
変化がある限りチャンスはあります。
面白くなりそうです。みんなで面白くしていきましょう。

今年は新春放談と新春のご挨拶をスキップしてしまったので、
勝手ながら、先ずちょっとだけ、年初のご挨拶をさせていただきます。

今年もまた天災の予感があります。
50年来の大雪だそうです。世界的にも気候変動は起きているようです。
この点は今年も気がかりなこととして想定していた方がよさそうです。
リスク対策、危機管理の対象です。
さて次は人為です。今年は言うまでもなく日本経済にとって正念場です。
昨年からのアベノミクスが本物がどうかが試されます。
第1の矢と第2の矢は予想以上の効果を見せました。
しかしマネーサプライによる円安効果は輸出産業にとっては追い風になっても、
輸入産品にとっては価格高騰になります。エネルギー価格や食料品の値上げ。
更に輸出産業もいつの間にか生産の海外移転などが進んで、思うような輸出額
にはなりません。貿易収支は赤字になります。結局企業業績の格差が広がり、
例えば海外からの株式投資にしても二極分化していくことになります。
つまり第3の矢が本当に創り出されなければ第1の矢や第2の矢も勢いを失い、
ただ副作用だけが残ることになります。政府は第3の矢のために環境条件を
作り出そうとしていますが、本当に中身を創るのは民間です。我々なのです。
もう一つ不安の種があります。グローバリゼーションです。
もう国内だけで閉じた産業はありません。企業活動も、どんな組織の活動も、
世界のどこかで「池に石が落ちれば」、波紋はその活動に影響を及ぼします。
世界を視野に収めていなければいずれ破綻します。
ここ2~3年とうとう小売業も海外進出を強めてきました。
しかしまだまだ経験が足りません。試行錯誤してビジネスモデルを模索しています。
政治はもっとひどい。国際音痴そのものです。
官民が一致協力して日本産業の国際競争力を高めていかなければならない現在
グローバリゼーションを強かに図っていくことが要求されています。
変な言い方ですが、そのための「エリート」、経験者、はいるのです。
知恵はあるのです。今まで国際的に戦ってきた人はいるのですから、
その知恵を糾合して戦うことはできます。
今年はそういう意味で面白いことができる年なのです。
それぞれが強みを生かして挑戦していきましょう!

さてこのような中で今年も協議会がスタートします。
昨年来温めていた企画から入りたいと思います。

「こだわり」です。

どこにでも、どの企業にも、クレージーな奴はいます。
私も今までこんな人たちにずいぶん助けられました。社内でもいましたが、
極端な場合、他社のクレージーな技術屋に助けられたこともあります。
どうも進歩とか、進化はそういう人たちによって支えられていると言えるかもしれません。

昨年ソニーPCLの毛塚社長(当時)に4K、8Kの映像をまとめて見せてもらう機会が
ありました。 今は4Kテレビが商品化されて、量販店などで映像を見ることができます。
ハイビジョンより高精細度の画質であることは見ればすぐわかります。
4Kと言えばもうテレビです。でもちょっと待ってください。
それだけではないのです。ソニーの中でも子会社のPCLは「絵」(画像)にこだわっている集団です。
確か数年以上前に4K、8Kを超える超高精細度の映像の研究開発もしていたように
記憶しています。3Dの時もいち早く話を聞きに行ったのはPCLです。
FIFAのオフィシャルパートナーとしてサッカーの映像を溜めているのもPCLです。
昔、黒澤監督が初めてデジタルVTRを「ドリーム」という映画で使ったのは
ソニーPCLの協力でした。黒澤監督を私淑するコッポラ監督が事前にPCLに寄って確認し、
それから黒澤監督に推薦したのだそうです。「ドリーム」の中でゴッホの麦畑の映像が
ありますが、黒澤監督は同じ麦の畑を北海道に作ったそうです。麦が色づくころ
PCLのクルーが呼ばれ撮影します。ワンテイクだけです。カラスを放すのでチャンスは
1回だけ。最後は、麦の根元の部分に残っていた緑の部分をレタッチで修正したということを
聞きています。そ のPCLで見せていただいたのは、無圧縮の映像です。
テレビでは通常圧縮して加工した信号を戻して映しています。素人には分かりにくいのですが、
圧縮した映像はひずみが出てきたりして、プロにはすぐわかります。
PCLで見た画像はもうそれ自体に奥行き感があります。将来4K用に録られた映像をテレビで見られるように
なるとたぶん今の4Kで見ている「絵」とは違っているかもしれません。
テレビの見方も違ってくるかもしれません。当然カメラワークも違ってくるでしょう。
変わるのはそれだけではありません。4Kの映像はテレビ以外にも使われます。
例えば医療。手術画像も血管一本一本が見えます。手術の遠隔指導もできます。
今回毛塚さんには多方面の応用も含めてお話ししていただきます。
論より証拠ということで映像のデモもご覧いただけるそうです。
「絵」(画像)へのこだわりがどんな世界を創造していくのか楽しみです。

次は「音」です。
これもきっかけはPCLに伺った時の話です。
映像を見る前に面白い人たちが来ているから会ってみないか、ということでした。
それが「音」にこだわった人たちだったのです。しかも話を聞いてみるとどうも昔のソニーの
仲間が関わっているらしいのです。ソニー総合研究所時代の同僚だった高田氏。
業務用大型スピーカーの研究開発をやらせろと言ってきた人です。
更にでてきた名前が中島平太郎さん。CDの生みの親であり、デジタルオーディオの父
みたいな人です。90歳を越えてなお情熱を傾けているのだそうです。驚きました!
私が知っているオーディオの研究開発は音の忠実再現の追及です。
「今のステレオは忠実再現か?これでいいのか?」5.1チャンネルでも結局音の虚像を
聞いているのではないのか?それはそうです。実際に電車が走っているわけではないのです。
いくつかのスピーカでそう聞こえるように音場を作っているのです。
中島さんや高田さんたちは相変わらず「音とは何か?」を追求し続けているのです。
ちなみにPCLでその時私が聞いた「音」は「森の音」です。風の音、小鳥の囀り、葉のすれ合い、
どこからともなく聞こえてくる音。こんな音を皆さんは聞いたことがありますか?
今のステレオオーディオでは無理です。そうすると「音」はオーディオの枠を超えて応用を
広げています。不眠症の人が森や山ではよく眠れると言っていました。高田さんたちの「音」の
追及は不眠症治療にもなるのかもしれません。そんな彼らの「こだわり」を話していただきます。
こちらも音のデモをご用意くださるそうです。

最後はテレビです。
とことんテレビにこだわっている人がいます。株式会社PTPの社長有吉さんです。
以前にも協議会で別テーマで取り上げました。HDDレコーダー「スパイダー」を製作販売し、
それをサービス事業につなげています。ご存知の方も多いでしょうが、あえて書いておきます。
「スパイダー」は24時間1週間全チャンネル録画のHDDレコーダーです。
そしてその全番組表にメタデータが埋め込まれています。今までのメインビジネスは
企業・団体・組織のレピュテーションマネジメントに供してきました。つまり検索が
いくらでもできますから、たとえば商品名を入れて検索すると、その商品名が出た番組と
そのコーナーがすぐ出てきます。どんなふうに取り上げられているのかもわかります。
だから企業や官庁でも「スパイダー」を導入して世論を見ることができるのです。
さてそんな有吉氏が今度は一般消費者向けの「スパイダー」を発売することに
なったというのです。全国区で全番組のメタデータはどうするのか?
今までは企業用ですから首都圏とか、大都市だけでもよかったのです。今度は全国区です。
それを開発したらしいのです。これができると全国で「スパイダー」が使えます。
今までとは違う使い方になるでしょう。さてどうなるのか?話を聞いてみてください。

今回取り上げる「こだわり」は実は第3の矢にもかかわってきます。
日本の実力はこんなところにもあるのです。韓国にもありません。中国にもありません。
コストの問題ではありません。欧米にもないのです。ではどうやって世界に売っていくのか?
グローバリゼーションの問題でもあります。MBA的にだけ考えていたらこんな競争力は出てきません。
できれば「こだわり」の第2弾、第3弾を企画できればと思っています。
こんなところから日本の競争力が見えるようなればと思っています。

今年もまた挑戦です!時代を見通して、真の課題を新しい視点で捉えなおしてみましょう。
チャンスはあります!リスクを恐れず一歩を踏み出していきましょう。

今回も是非奮ってご参加下さい。語り合いましょう。それでは会場で!!

株式会社イーフォーシーリンク  横野 滋