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第137回e4c-village協議会 報告

 皆様、お元気にお過ごしのことと思います。
大変ご無沙汰してしまいました。いつの間にか季節は秋です。
時折蒸し暑さは残っていますが、気温は確実に下がっております。
仕事に、飲みに、スポーツに活動度が上がります。東京オリンピックも決まり、
プロ野球もリーグ優勝が決まり、いよいよクライマックスです。消費税アップも
ほぼ予定通り、法人税はどうなのか。これだけ見ても今閉塞感はありません。
今は行動を起こさないことがまさにリスクになりそうです。躓きを恐れず、
果敢に飛び越えていきましょう。それでも、体調には気を付けて!

 さて今回は「ビッグデータ」を取り上げます。本当のところまだ成果はそんな
に出ていません。始まったばかりといったところです。NHKの「震災ビッグ
データ」はそれなりに「ビッグデータ」の有効性に触れています。しかし私が
恐れるのは、バズワード化しかねない状況です。ある本のまえがきに
「スティーブ・ジョブズのいない会社はビッグデータをやるべし」とありました。
カリスマのいない会社はビッグデータが代りをする、ということらしい。
とんでもない話です。NHKの番組はそんなことは言っていませんが、
知見の新規発見、その有効性、など喧伝される結果、誤解もされます。
 そこで今回は、以前クラウドやグローバル人財、スマホ・タブレットの最初の
協議会特集でも意図したように、「ビッグデータの実像」を明らかにすること
にいたしました。バズワード化して部分的にも葬り去られるにはもったいない
技術です。コンピュータの歴史はまさにいつの時代もビッグデータへの挑戦の
歴史でした。今回お話をお願いするIBMは、その昔米国世論調査のデータを
整理分析するために当時の「コンピュータ」を開発しました。大砲の弾道計算の
コンピュータも、人力では時間がかかり過ぎることを恐れて開発されました。
これらは当時では手に余る「ビッグデータ」だったのです。
 今回の「ビッグデータ」はどうでしょうか?現代のコンピュータの計算能力、
使われるリソースは格段に進歩しています。特徴的なことは、データが数字
だけではないことです。データベースもリレーショナルDBだけではありません。
今やTwitterやFacebookなどの文字情報、所謂「非構造型のデータ」が大量に
蓄積されています。この他に図、写真、動画、などもあります。現代のコンピュ
ータはこれらすべての分析、解析ができるようになりました。天気予報でさえ
地球規模のデータから計算しています。圧倒的なコンピュータの進歩です。
それはそうなのですが、しかし、しかし、です。コンピュータは勝手にやっては
くれません。人が目的意識を持って、仮説を立て、検証していきます。
「ビッグデータ」も同じです。NHKでやっていた番組の中の、企業のアクティ
ビティの分析で、第1次取引先だけでなく、その向こうの「第2次取引先」まで
考慮に入れて分析すると「業績が伸びている会社」の原因が分かる、というのも
人がPDCAを回しているのです。「ビッグデータ」はカリスマではないのです。

 さて、そんな「ビッグデータ」は何ができるのでしょうか?何を期待できるのでしょうか?
 1番バッターには日本IBM東京基礎研究所の渡辺日出雄氏に全体像をお話し
いただきます。ビッグデータと言えばIBMと言いましたが、それに倣ったわけでは
ありませんが、いの一番にお話を伺いに行きました。基調講演をお願いするのに
私のイメージとぴったりと合いました。「IBMを代表しての話ではなく、個人として、
でよろしいでしょうか?」大いに結構です。その方が伸び伸びと勝手に言って
もらえます。e4c協議会もそういうところです。具体例も入れてわかりやすく
お話ししていただけるそうです。楽しみです!
 2番バッターも日本IBMにお願いしました。1番目が必ずしもビジネス関連では
ないので、2番目はビジネス関係にしました。日本IBMは「ビッグデータ」のインフラ系、
あるいはプラットフォーム系ビジネスをかなり重点的にやっています。ビジネスと
いうことになると具体的にどうなるのか?このあたりの話は、以前クラウドの時も
お話しいただいた、もう一人のわたなべ氏、アライアンス事業を進めている渡邉彰氏に
お願いいたしました。常に問題意識を持ち続ける渡邉氏は「ビッグデータ」の日本企業
への導入に甘い考えは持っていません。今までの日本企業へのIT導入と同様、
十分な成果を期待するには今度こそ日本企業自体が意識を変えなければならない
かもしれません。
 3番目は日立製作所にお願いいたしました。
日立ほど技術に真摯に取り組んでいる企業はいない、と私はソニー時代から
ずっと思ってきました。今回も人づてにご紹介いただき、お話を伺ってきました。
「ビッグデータ」には3Vというキーワードがあります。
Volume(大きさ)、Variety(多様性)、Velocity(現れる頻度=速度)。
日立は何と言ってもVarietyです。お会いした安田誠氏に明言されました。
原子力から鉄道、最近でこそ事業分野を絞っていますが、日立ほど事業ドメインの
多様な企業はありません。安田氏は本社で日立全体の「ビッグデータ」を見ています。
「Variety」こそ日立の特徴と言われた時にはほっとしました。これで第1弾の配役は
揃ったと思ったのです。
 「ビッグデータ第1弾」は、「ビッグデータ」の何たるかをつかんでもらうため
に企画しました。以上のお三方の講演でご理解いただけると思います。
第2弾は、引き続き開催する予定ですが、応用する分野、アプリに焦点を当てる予定です。
あるいは特異的で特長的な技術を取り上げるかもしれません。

 時代は常に新しい挑戦から進んでいきます。皮をめくるように新たな内容が
現れてきます。展開してくるわけです。これは現場に立ち会わないと見えてきません。
今回の「ビッグデータ」もその真の価値はこれから見えてくるのでしょう。
でも傍観者でいる限り肌に感じて分かるところまでは行きません。
今回は「入り口」です。

 今は面白い時代です。必ずしも近未来でさえ予測できないことが面白さです。
あらゆる材料を駆使して新たなイノベーションに挑戦していきましょう。

是非奮ってご参加下さい。語り合いましょう。それでは会場で!!

株式会社イーフォーシーリンク  横野 滋