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第135回e4c-village協議会 報告

皆様、お元気にお過ごしのことと思います。
今年は早い桜の季節も終わり、青葉若葉の爽やかさが風に現れています。
まだ時には寒さの戻りもありますが、仕事も遊びもスポーツもいよいよ加速状態に
なります。アベノミクスも円安、株高はいいですが、不安なのは経済の実質的な
成長戦略です。これはまさに我々にも課せられている課題です。浮ついた
心理的好況感に惑わされず、しかし臆せずに勇気を持って果敢に可能性に
挑んでいきましょう。すべてに良い季節ではないですか!

さて、次回の協議会のご案内です。メッセージがずれ込み、日程確保のために
とりあえず先日12日に開催予告を出させていただきました。

今回は「シェール革命」を取り上げます。
シェール革命は昨年から大々的にメディアでも取り上げられていましたが、
主な論点はエネルギー資源、燃料領域で、たとえば電機業界への影響は
ほとんど取り上げられていませんでした。今現在もはっきりした形で論じら
れてはいません。かなりの影響があるのかもしれないと気付いたのは、
今年初めに新聞で見た「コマツの業績」の記事でした。業績の下方修正でしたが、
それがシェールガス・オイルのおかげで石炭採掘の工機が売れなくなったと
いうのです。ちょっと待てよ、と思っていろいろ調べてみると影響はいろいろな
分野で起きつつあるようなのです。
先ず最初に言われたのがアメリカ製造業の国内回帰と復活です。エネルギー
コストが安くなったおかげで海外の安いレイバーコストでの生産より有利に
なったというので す。次はアメリカのエネルギー戦略が変わり、輸入石油に
対する需要が下がり、アメリカの海外でのプレゼンスが低下するということです。
軍事プレゼンスが下がれば、アルジェリアの悲劇は多発するようになるのかも
しれません。次はシェールガス・オイルが安くヨーロッパに入れば、もうロシアの
天然ガスは要りません。ロシアは売り先を求めて東に向かいます。つまりエネルギー
資 源の国際的な流れが変わります。変われば国と国との関係も違ってきます。
日本の北方4島の返還にもかかわってくるかもしれません。先日の新聞では
アメリカの景気がよくなり、国民の可処分所得が1000ドルアップすると出ていました。

そこで先ず三菱ケミカルの小林社長に電話でお聞きしたら、
何と、数年前から調べさせているとのこと。化学工業、そして三菱ケミカルは
どういう影響を受けるのか、そのためには何をしなければならないのか。
すぐ分かるのはエチレンベースの高分子化学工業が大きな影響を受けることです。
住友化学もいち早く国内のエチレンプラントを停止する発表をしました。
そういえば三菱化学は既に縮小してきています。そこでご紹介されたのが、この調査
をしている(株)地球快適化インスティテュートです。釣田さんに、三菱ケミカルを
中心として、シェールガス・オイルとは何か、現状と動向をお話いただき、化学工業の
産業として、そして三菱ケミカルへの影響を考えて、今後どうすればいいのか、
差し支えないところでお教えいただきます。

国際的にはもっと大きな影響、地政学的な変化とか、ありそうだということで、
三菱商事の元エネルギーカンパニーのCEOもやってらした私の友人にも聞いてみました。
また違った話が伺えて、強いアメリ カの復活の歴史的背景の中で、1960年代から
石油を輸入していたアメリカが1950年代以前のエネルギーの自給の強さを取り戻す、
しかし一方で今まで輸入設備しかな かったアメリカに今度は輸出設備が必要になる、
これには数年掛かる、・・・。こんな話がぽろぽろ出てきて、全体的には、今回お話を伺う、
三菱商事の執行役員で、前国際戦略研究所所長の藤山さんに話が振られました。
藤山さんにお会いして話を伺うと、話はちょっと面白い方向にずれて、グローバリゼーション
を前面に出した話なら、ということになりました。 どういうことかとその意味を伺ったところ、
たとえば企業のグローバリゼーションにしても、その展開や成熟度には4つの因子があり、
シェールは戦略物資なのでもちろんそこに 影響してくるということなのだそうです。
ここではネタばらしはできませんし、私もその一端を聞いただけなので、詳しくは
当日のご本人からお話を伺いたいと思います。

さて、そうなると次はエネルギー全体の中でのシェールガス・オイルの位置づけ、
日本および世界の中での現状と動向がどうなっているのか気になります。
今度は経産省の友人に相談しました。そこでご紹介を受けたのが、JOGMEC
(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物 資源機構)の中島さんです。
経産省からの出向です。やはりお会いしてお話を伺いました。お役人にしては
企業家的な感覚をお持ちで、話に花が咲きました。シェール革命は、今は誰も
全体俯瞰図を書いている人はいない。抽象的な話をしても本当かどうか分から
ないので、具体的話を取り上げて、今過大評価されている点とか、逆に過小評価
されている点とかをいくつか明らかにしたい。そういう話ならできるかも、ということで
お願いすることにしました。ちなみにJOGMECは三菱商事の友人も言及していました。
やはりテーマを絞ると 世間は狭いものです。

またまた、さて、ですが、では他分野への影響はどうなのだろうか?たとえば電機業界。
これは明確に、エクシプリシットに出てこないかもしれません。でもヒントはいっぱい
出てきます。生産戦略は今まで通りに策定していいのか?そんなことはありません。
生産コストやサプライチェイン、デマンドチェインなど拠点立地条件因子は今までと
違ってきます。 生産拠点の集中と分散を考えれば、化学工業などからの原材料の取得は
中東などの産油国だけでなくなります。 それに世界景気 の温度分布も変わってきます。
アメリカ市場はこれまでの延長線でしょうか。そんなことはありません。 1000ドルの可処分
所得の増加があるとすれば購買意欲も増進します。自動車も燃料選択の影響が出ます。
EVだけが解であるわけではないのです。造船も海運が変わると大き な影響が出ます。
製鉄はどうでしょう。・・・・ つまりもう一度ゼロから考えてみなければなりません。
世界が変わりそうなのです。いや、変わりつつあるのです。

今年はやはり面白い年になりそうです。
イーフォーシーも、新しい動き、新しい挑戦、をご紹介しながら、皆様と一緒に
新しいビジネスに挑戦していきたいと思います。

是非奮ってご参加下さい。語り合いましょう。それでは会場で!!

株式会社イーフォーシーリンク  横野 滋