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第131回e4c-village協議会 報告

皆様、お元気にお過ごしのことと思います。
昨日は台風一過、10月というのに酷い日差しでした。さすがに今日は涼しさが戻って
きましたが、油断はできません。でも朝晩の冷え込みには逆に気をつけてください。
それにしても相変わらず不快感を煽るのが政治です。第3次野田内閣は大丈夫で
しょうか? 尖閣、竹島で日本の隙を伺う領土問題、アメリカのイスラム問題、
遅々たる歩みの東日本大震 災の復興・復旧、収まらないユーロ危機、課題山積で、
多発する乱に他人事とただ呆然としているわけにも行きません。何かが起こる前に
一人ひとりがしっかり考え、自分にできることを実行していく以外にありません。
ただ自律神経失調にならないよ う、副交感神経系もたっぷり養ってください。

前回の恒例の「夏の特別協議会」は、資生堂の前田会長からお話を伺いました。
大好評で、参加者の皆さんからは多くの賛辞と感動の言葉をいただきました。
また何らかの機会に詳細、各論をうかがえればと思っております。

さて、次回第131回協議会のご案内です。
次回は、最近寂しい、あるいは悔しい展開を見せているテレビを取り上げます。
日本の電機業界の花形だったテレビ、これが今や電機業界凋落の象徴になって
います。パナソニック、ソニー、シャープのテレビ事業の巨額な赤字。しかも1期だけ
ではありません。回復も楽ではありません。サムソン、LGに追いつき追い越すことが
できるのでしょうか。シャープへの鴻海(ホンハイ)精密工業の出資は、数年前まで
のシャープを考えれば、如何にプライドを捨てても生き延びようとしているかを
思いやってしまいます。しかし日本のテレビメーカーはここに固執してテレビ事業を
再生・継続することに血道を上げていいのでしょうか?ここで言う「テレビ事業」とは
従来のテレビを製造販売する事業のことです。サムソンやLGももはや従来の
テレビ事業をそのまま伸ばそうとは思っていないようです。世界はスマートテレビの
ほうに舵を切っています。それに気付かない日本はいつの間にか「テレビ後進国」
になっていたようなのです。アメリカも、ヨーロッパも、シンガポールも、香港も、
どこも電波で降ってきたテレビ番組を見るだけのテレビから、人々の生活に
能動的な機能を提供するテレビになっていこうとしています。「テレビのPC化」
とも言えるかもしれませんが、テレビはテレビです。PCではありません。
でも番組を見るテレビでもHDDレコーダーで好きなときに好きな番組だけを
見る視聴スタイルも普及してきています。天気予報やニュースだって好きなときに
好きなことだけ見たっていいではありませんか。インターネットにつながっていれば
簡単です。でも PCではありませんからリモコンでテレビのチャンネルを選局するが
ごとくに天気予報チャンネルが選べればいいのです。もうテレビは単に電波で
降ってくる 番組を受動的に流してみているメディアではありません。
もちろんそれもできますが、それだけではないのです。地上波であろうと、
衛星であろうと、有線であろうと、インターネットであろうと、ソースはどうでもいい
のです。視聴者の目的に合ったコンテンツが得られればソースがどこからでも
いいのです。誰も気にしません。

スマートテレビとはどうもそういうことらしい。テレビは既に内部はコンピュータです。
機能仕様がはっきりすれば如何様にも設計でき、製造できます。
ではスマートテレビとは何でしょう?どうもTVアップスというアプリがキーのようです。
スマホでもタブレットでも今やアプリは皆さんよく知っています。 有料、無料で
ダウンロードしてきて使っています。OSやミドルウェアなどのプラットフォームが
定義できればその上に乗るアプリは、多くの開発者に制作を委ねられます。
スマホ、タブレットの盛況振りを見れば分かるでしょう。それが今度はテレビの世界に
入ってきます。極端なことをいえば、売っているテレビはハードだけを完備した箱に
なります。後はユーザーがチャンネルをダウンロードしてきます。普通の放送局
チャンネルもあります。チューナーはハードの箱の中に入っていますから、
地上波チャンネルのTVアップスをダウンロードしてくれば、従来通り日テレや
フジテレビなどを見ることができます。ただ今回は見たくなければそのチャンネルは
ダウンロードしないので、たとえばNHKは見ない、ということもできるのです。
受信料も払いません。極端に言えばこういう世界になるのです。
こういう新たな世界が広がります。こんな話を聞いたことがありますか?
欧米では当たり前に話されています。だからプラットフォーム仕様の争いになっています。
Windowsがいいとか、Androidがいいとか、いやアップルとか、
プラットフォームを取るというのは決定的に重要な問題になります。

こう考えてくると、もう分かりますね。テレビの世界は、テレビだけではなくなるのです。
スマホ、タブレットともつながります。マルチデバイスです。見てたテレビの続きを
電車の中でスマホで見る。スマホで流したフェースブックを自宅に帰ったらテレビに
「友達」からコメントが来ていた、とか。ソーシャルメディアともつながります。
ここまでくればクラウドが当然絡んできます。 サービスクラウド、パーソナルクラウド、
コミュニティクラウド。どんどん広がり、つながっていきます。

こういう世界を、今回は3人の方にお話していただきます。これからどうなるのか、
どこに行くのか、日本はどうすればいいのか?お話していただくのと同時に
みんなで考えてみましょう。

一番バッターは(といってもまだ講演の順番は決まっていませんが)、
ブロードメディアの久松氏です。元ソニーで、アクトビラで副社長もしていました。
協議会でも何度かお話を伺いました。ブロードメディアは、ストリーミングによる
コンテンツ配信をしています。コンテンツから見たとき出口はいろいろあります。
当然スマートテレビを含むスマートメディアデバイスはどれも出口です。
これからの世界をどう見ているのでしょうか?

お二人目は、野村総合研究所の山口氏です。山口さんには第129回のクラウド特集
のときにクラウドの視点から放送ビジネスの最近の変化を話していただきました。
今回は、放送というより、スマートTVの海外事情から放送やテレビが世界でどのように
変化していっているのか、を語っていただきます。山口さんは「黒船来航」といいます。
脅威かもしれませんが、同時にチャンスでもあります。ヒントをつかみましょう。

最後はKDDIです。まだスピーカーは聞いていません。ご存知のようにKDDIは
以前からFMBCを標榜してきています。協議会でも何回かお話を伺いました。
JCOM の株主でもあり、ケーブルTVとの連携にも力を入れています。
最近スマートTVのSTBを発表しました。既にそれらしき「絵」もあります。
固定電話、モバイ ル、放送というFMBCは上で描いたマルチデバイススキーム
そのものです。 今回はSTBの詳細ではなく、スマートTVの将来方向について
お話を伺おうと思っています。

何時の間にか「テレビ後進国」になってしまったという日本は、気が付きさえすれば、
まだ、回復どころかさらに優位な状態に持っていける実力、技術力はあります。
私自身でも萌芽は見えていると思っています。そんな中で海外では違う動きをしている
という日本のテレビメーカー。そんないい加減なことで世界に勝てるだろうか?
思い切った戦略を打ち立てるには、日本も 啓蒙し、日本市場にも磨いてもらって、
世界でも戦って、何がキーなのか掴み取っていかなければならない。
悪魔のように慎重に、天使のように大胆に!

頻発する「乱」。居直っても、勇気を持って挑戦していきましょう!

是非奮ってご参加下さい。語り合いましょう。それでは会場で!!

株式会社イーフォーシーリンク  横野 滋